KAMAKURA

COIN DE RUE
極上のシャリアピンステーキ

2013 . 10 . 1

この店を訪れたのは数年前の夏の暑い日でした。小町通りの古本屋さんで私の探していた本を見つけて心浮かれて帰ろうとすると急に雨が降り出しました。濡れないように本をシャツの中に仕舞い込んで雨宿り兼昼食でもしようとあたりを見回すと、怪しげな蔦の絡まるお店が目に入ってきました。

そのお店にはフランス料理「コアンドル」と書かれていました。恐る恐る店内に入ると暗めの照明の中、外の小町通りの喧騒は嘘のように4.5人の人が静かに食事をしていました。

私はメニューにあるこの店の名物のシャリアピンステーキを注文しました。この店のステーキは鞍馬天狗で有名な鎌倉の文筆家、大仏次郎が足しげく通っていたそうで、このステーキも先代が大仏氏と一緒に考案したそうです。

私はマスターに赤ワインをグラスで注文しました。赤ワインは適当に冷えており軽い飲み心地が暑い体を冷やしてくれます。赤ワインは常温に限るという方も多いのですが、私は暑い夏の季節など少し冷えた赤ワインと料理を合わせるのが好きです。

運ばれてきたステーキにはレンズ豆とポテトが添えられており、お醤油ベースのソースがなんとも言えないよい香りでした。多くの料理店で仕上げに玉ねぎを乗せたシャリアピンもどきのステーキを見かけますが、この店のステーキはきちんとマリナードしてあります。このステーキにはパンよりご飯かあうと思っていた矢先、マスターがご飯を持ってきてくれました。

久々に美味しいシャリアピンステーキを食べて満足して帰ろうとすると、次はビーフシチューを食べていってくださいと念を押されてしまいました。それもガーリックトーストと合わせてと念の入りようです。

もちろんほどなくしてこのビーフシチューも食べに行きました。もちろん味はシャリアピンに負けじ劣らずの美味しさでした。偶然自分のお気に入りの店を発見する楽しみそれが鎌倉の奥深さなのかもしれません。

 


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