WATER MAN

208月2014

WATER MAN

私は一度だけタイガー・エスペレに会ったことがあります。正式には会ったというのは痴がましく彼を見たのです。

20年以上材木座に通い続けていたある初冬の事でした。波はその時期にしては珍しくウネリもあり力強く、フルスーツを着たサーファーが多く入っていました。

私は風を避けるべく豆腐川より東側の場所でサーフィンをしているとすぐ近くに裸で波と遊んでいる大男がいました。遊ぶと行っても頭ほどある波です。

左胸に蜘蛛の巣のようなタトゥを入れた大男は色黒く一目見て日本人ではないことが分かりました。

その大男はサーフボードも持たずにボディサーフィンをして波と戯れていました。あまりに陽気にそしてスムーズに体を横たえる姿に寒くはないのかという心配さえ後回しになるほどでした。

彼がタイガーだと知ったのはその後のことでした。

彼は残念ながら天国に行ってしまいました。偉大なウォーターマンとしてそしてハワイアンのフラの伝承者として膾炙されています。

今年の夏、台風10号と11号の時、強い南風が止んで一瞬あの時のような良い波が現れました。私はあの時とと同じ場所で9.4のボードを置いてハンドブレーンだけで波と遊んでみました。

サーフボードとは違う、大地のうねりのようなスピリチュアルな力が体全体に伝わってくるのを感じました。

タイガーの笑顔が私にも少し分かったような気がしました。

サーフィンを続けると時としてこうしたギフトがあります。

タイガー・エスペレ、偉大なWATER MANに感謝!!です。

写真は私の愛蔵書でもある横山泰介写真集 『Dedication – to two watermen -』 よりです。


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